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 ”地域づくり”現地ルポ

 ■ 「絣(かすり)の里巡り in 筑後」 (福岡県筑後市)

■ 「絣の里巡りin筑後」の取材報告を前に・・・筑後市はこんなところ 

■筑後市は「”良縁を結ぶ”恋のくに、”久留米絣”の里」

   筑後市は、福岡県の南部に位置する都市。福岡市から熊本・鹿児島に向かう途上にあり、新幹線が停車する「筑後船小屋駅」、高速道路のI.Cも近くにあり、交通の便利さに恵まれています。特に市内には、歴史的な神社が数多くあり、中でも若者に人気の「恋木神社(こいのき)」(水田天満宮の境内にある)は恋命の神様が祀られていて、全国でもただ一つの神社です。
   また、200年続くこの地域独特の「絣文化」・「久留米絣」の伝統を引き継ぐ生産地として全国から知られていて、絣の新しいデザインの反物が相次いで生まれ、女性を中心に人気が高まっています。
  
   「Oh! 元気 ねっと」は、2016年11月12日に恋のくに・筑後市を訪問しました。

■”良縁を結ぶ”恋のくに !
    
   筑後市内では、歴史的に貴重なものが数多く残されていますが、中でも水田天満宮の境内にある「恋木神社」は若者たちに良縁をもたらすとして、今人気の中心です。
   連日多くの若者、特に女性の姿が目立ちます。神社の社務所を訪れた人たちは、お札や絵馬などを買い求めたり、おみくじなどを引いたりして、良縁を願っていました。


            恋木神社

      神社の社務所に多くの女性

■ 「絣の里巡りin 筑後」・・・久留米絣発祥の地からの現状報告!

「テーマ」

    福岡生まれで、200年以上の歴史を持つ「久留米絣」。
この伝統を受け継ぐ福岡県筑後市の7軒の工房が共同で 32回目になるイベント「絣の里巡りin 筑後」を2016年(平成28年)11月、に開催しました。
    開催期間中、各工房では、絣の反物などができるまでの製造工程を見学できるようにし、絣についての理解を深めてもらおうと内部をオープンにしたほか、絣の良さである、色や柄を生かした魅力ある反物や製品を展示し、絣の需要の拡大のための愛好者を増やそうと一生懸命にPRに努めました。
     「Oh! 元気 ねっと」では、絣技術を継承してゆくため、後継者の育成や確保、それに絣の需要の拡大を図っていかなければならないという課題を抱える中で、各工房が、地元に伝わる久留米絣文化をどのように継承し、発展させようとしているのか、その意気込みを取材しました。


「イベントの内容と目的」
   
    1995年(平成7年)から始まったイベント「絣の里巡りin筑後」は今回の開催で32回目を数えます。
   2016年(平成28年)は11月12日・13日の2日間、筑後市内の
11軒の久留米絣の工房うち7軒が参加し、筑後市や筑後市観光協会などのバックアップを得て開催しました。


      イベントのポスター
   
   各工房では、開催の期中、普段見ることのできない、とても大切で難しい技術が要求される「絣の糸の染色」作業、「織り子」と呼ばれる女性たちが糸を巧みに組み合わせて手織りしてゆく過程を見てもらい、絣について理解を深めてもらおうと工房全体を開放しました。


      糸を染色する作業

   「織り子」さんの手織り作業

  さらに、久留米絣で作った、最も力を入れている自慢の柄の反物や製品をはじめ目玉商品を展示し、“工房の強み”セールスポイントをそれぞれ掲げて、
PRに努めていました。


   見事なデザイン柄の絣の着物


      ずらりの並んだ絣の洋服

       色とりどりストールの数々
        

「工房のセールスポイントは・・・」

①太さの違う糸を組み合わせた手触りのやわらかな反物が提供できる。

②花柄のデザインに自信。生地から洋服づくりまで任せて。

③「経緯絣(よこたて)」で、求めやすい価格に。

④肌に優しいストールに自信。

⑤細やかな色や柄の反物を作る技術がある。

Tシャツやハンカチの藍染体験もできる。

⑦画一的な図柄ではなく微妙に違う図柄を入れこむ技術がある。

⑧要望があればどんなデザインにも対応できる。

などのセールスポイントを掲げてPRしていました。

 

訪れた客の様子」

イベント開催の2日間、各工房には地元筑後市をはじめ、県外からも、自慢の久留米絣の着物やコートなどを着こなした絣フアンの女性たちが多数訪れました。


   応対する方も客も久留米絣で

   多くの人でごった返す7つの工房を歩いたり、シャトルバスを利用して巡り、それぞれお目当ての生地や製品を買い求め、満足げな表情を見せていました。特に今回は県外から初めて訪れたという人も目立ち、関係者に明るい話題をもたらしたこともあって、イベントも盛況のうちに終わりました。


  関心の高さうかがわせる盛況ぶり

    気に入ったものを探す真剣な表情

 

 ■「久留米絣」は九州・福岡生まれ!

   筑後市教育委員会によりますと、

   このように人気のある久留米絣。そのルーツは、今から200年以上前にさかのぼります。現在の福岡県久留米市およびその周辺の旧久留米藩の地域では、農家が農閑期の副業として、木綿で無地や縞柄の綿織物を織っていました。

農家の娘で織り手であった当時、12歳か13歳だった 井上 伝(いのうえ・でん)は、ある時、素朴な疑問に直面、そのカギを解きほぐすことによって、現在の「久留米絣」の原型である、緻密な柄模様を織り出す技法を見出したの
です。


   技法によって生み出される模様

その技法とは、糸を藍色で染める際、柄模様を入れたい部分に括り(くくり)を作って着色されるのを防ぎ、藍色の着色の終わった後に、括り(くくり)を解き、そこに図柄に必要な別な色を染色し、様々な柄模様を作っていくというものです。


  括り(くくり)が入った染色中の糸

       この技法は、外国から伝わったものではなく、九州・福岡地方で独自に生れたものです。

 

 「模様付け技術も+織り機も発展」

このようにして生まれた久留米絣は、時代を経て、さまざまな人々の手で模様付けの仕方や機械織りができるようになるなど織りの技術も大きく改善されてきました。


     久留米絣工房の風景

その結果、ほとんどのカラー糸をはじめ、細い糸、太い糸が、作る技術も生まれ、色や柄が豊富になった生地ができるようになり、着物、ワンピースなどの洋服、ストールなど用途が拡大しました。


       絣でできた洋服

   バック類などのグッズも多数

さらに、絣は夏 涼しく、冬は暖かい、肌ざわりが優しいなどの良い点が多くの人々に認められ、今回のように絣に関するイベントなども繰り広げられるようになったため、年配の婦人たちだけでなく、若い人たちの間にも絣ファッションは注目されはじめ、大きく広がりを見せ始めています。
   
  このような久留米絣の技法は高く評価され、1957年(昭和32年)に「国の重要無形文化財」、1976年(昭和51年)には「国の伝統的工芸品」にそれぞれ指定されています。


      しかし、こうした絣文化を継承していくためには、解決しなければばらない課題も少なくありません。

久留米絣の工房の現況と課題」

久留米絣協同組合の調べによりますと、

福岡地方では、昭和50年ころ、120軒を超える工房がありましたが、生活様式の変化によって、絣の需要が急激に減ってきたことがきっかけで、工房の数も年々減り続け、現在26になってしまいました。その生産の中心は筑後市から広川町にかけての地域だけになっています。

このうち今回イベントが開かれた筑後市内では、工房が11軒になっていて、各工房では、引き継ぐ後継者や絣を織る「織り子」と呼ばれる女性の確保。また高齢化などで減っている久留米絣の技術を保持したり、継承している人の確保が課題となっています。さらに、久留米絣の技法は、一つの柄模様の糸を作るのに30という手間のかかる工程が必要で、糸の完成までには約3か月かかるといいわれていて、どうしてもコスト高になり、製品の需要を大きく増やすことに難しさがあります。

 課題へ!工房の取り組み」

当面する課題に対して、7つの工房では様々な取り組みを進めています。

   工房を経営する後継者の確保は・・・

各工房とも、将来的には考えなければならない時期が来るかもしれないが、今のところは後継者の確保がすでにできていたり、確保の見通しがついていたりして、当面は大丈夫だということです。

   織り子の確保には働き方を変える!・・・

ある程度の技術を習得している「織り子」人については、例えば子供が小さくて工房に通えない場合、自宅で手織りができるようにするなど、これまでと違った働き方で対処する方法をとっているところも見られます。


 絣の糸を操り反物を織る「織り子」さん

また、自分の手でさまざまな図柄の生地を作ることができるという魅力から、「織り子」に興味を持つ女性も出てきているということで、工房にとっては大いに歓迎したいとしています。

   久留米絣の技術(技法)を持つ人の養成と確保・・・

久留米絣の糸を作るための染の技術、特に絣の図柄を作りだすのに重要な「括り(くくり)」のしっかりできる技術者の養成と確保が大切です。特に、高齢化で技術を持った人が引退することも心配されるため早急に取り組まなければならない最重要課題となっています。


 括りの高度な技術によって出来た花柄

   製品の需要を高め、絣フアンを増やす!・・・

 ▽ 夏は涼しく、冬は暖かい、着心地が良いといった「絣」の魅力をはじめ、着物だけでなく洋服など幅広いファッションが楽しめるということを、様々なイベントなど通してPRし、フアンを増やいくてこと。
 
 ▽手に入りやすい価格の絣グッズの数を増やすこと。

 
 ▽ファッションショーなど絣をファッションとして見直す体験会を増やすこと。
  (2011年11月に地元の神社の境内を舞台に行われたファッションショーには、多くの市民が参加、日ごろ絣について研究している若い人たちも応援して、大いに盛り上がりました。下の写真から、着物や洋服を着こなした女性たちの生き生きした表情がご覧いただけると思います。また、ワンちゃんも、暖かそうです。)


  絣のファッションショー(2011年11月)

    ワンちゃんも”あったかい”

    お疲れ様!モデルの方々
              
工房では・・・以上のようなことに取り組み、絣の伝統を守りつつ、絣の需要拡大を図りたいと意気込んでいます。

 

久留米絣協同組合の理事長 池田 光政さん

  「述べてきましたように課題は山積しているが、久留米絣を守っていくためには、久留米絣の原点である 糸づくりの技術、中でも様々な絵柄を作るための「括り(くくり)」の技術をしっかりできる技術者の養成が一番急がれている。
  また糸づくりには、工程が多く、体力のいる仕事になります。工房の皆さんと相談しながら当面する課題に全力で取り組んで久留米絣という伝統を守っていきたい」と話しています。


    体力がいる糸の染色作業


Oh! 元気 ねっと」の注目

   地元生まれの絣の文化をどう守り続けていくか?それは、筑後市民に絣についてもっと関心を持ってもらうことです。そのためにはどうしていかなければならないかを市民みんなで考えていかなければなりません。

Oh! 元気 ねっと」は次のことに注目しています。

   久留米絣の文化が地元から生まれたということと、それを継承していくことの重要性を理解して、絣に興味を持ってもらうために、低学年から工房の見学会や藍染めの体験会を、学校などの協力をもらって行っていくことが望まれています。また各家庭でも、イベントの行われる機会に子どもたちを連れて工房巡りをすることも意義があると思います。
   下記は、つたない私の思いつきですが目を通してみてください

   絣は女性のものと思われがちだが、男性への普及をどのように図っていったらよいか?

   今人気の恋木神社との連携できるところはないか?筑後は恋の国ともいわれていて、恋木神社は若い女性に人気が高い。訪れた女性を恋だけでなく、絣の着物やグッズにも興味を持ってもらえるように、恋と絣の融合ができる接点となるところはないか?

   筑後市の市議会議員や市職員のユニフォームに、絣を使用できないか?

   スポーツや食など各種イベントなどの際、絣の里を象徴する法被などを着て参加できないか。

   花火大会でのプロポーズ花火などのイベントもある。ここに久留米絣が絡められないものか?

   筑後市でもプロ野球のソフトバンクを熱心に応援している。2017年は筑後の球場でソフトバンクの試合も行われるということで、応援団員に久留米絣でできた応援用のTシャツ・タオル・マフラー・リストバンドなどのグッズを使ってもらえないか?

   全国を回って筑後市の観光PRをしている「観光大使・恋姫」も、是非絣の着物で。

   筑後市には、観光ボランティアガイド「ちくご 恋のくに案内人の会」があり、そのコースとして「久留米絣工房巡り」がある。絣について現状をよく認識し、ガイドでPRしてほしい。

               「Oh! 元気 ねっと」は、以上のようなことに注目しています。
    
   このたびの筑後市訪問では、絣関係者をはじめ、多くの方々にお世話になったことを感謝申し上げます。




お問い合わせ
             ▼「イベント」 ・・・ 事務局 筑後市観光協会
                        TEL:0942-53-4229



         
    ▼「久留米絣」・・・久留米絣協同組合(久留米市)
                         TEL:0942-44-3701





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