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 ”地域づくり”現地ルポ

 ■「長崎さるく」(長崎県長崎市)

■「長崎さるく」現状報告&体験記


テーマ

   「減り始めた観光客を増やそうと」、長崎の良いところや坂道をセットにして、長崎を歩いて見てもらおうという「長崎さるく」。 2006年(平成18年)から始まって10年余りがたちましたが、それ以来、毎年ほぼコンスタントに参加者があるなど、長崎を訪れる観光客の数を盛り返す一翼を担ってきました。現在、「長崎さるく」は長崎国際観光コンベンション協会が主宰して行われています。
    
     Oh! 元気 ねっと」では、2016年11月の13日と14日の2日間長崎市に滞在し、長崎自慢のガイド付きの「定番さるく」に参加したほか、単独で勝手気ままに長崎の良いところを歩いてまわり、多くの人々とのふれあいを楽しみました。
    ここでは、下記の構成で、「長崎さるく」の現状とOh! 元気 ねっと」の「さるく」体験をリポートします。

■構成

⑴長崎の紹介

⑵「長崎さるく」のはじまり

⑶「さるく」の中身

⑷「さるく」効果

⑸「さるく」、今後にむけて

⑹「Oh! 元気 ねっと」の「さるく」体験

⑺「Oh! 元気 ねっと」の「さるく」の注目点

 

■(1)「長崎市はこんなまち・・・」(長崎紹介)


①「景色抜群!長崎港」

長崎は深く入り組んだ港をぐるっと取り囲むような地形になっていて、どの方角の高台からも港を眺めることができ、コンパクトな印象を訪れる人たちに与えています。この長崎、港を中心とした景色は、計り知れないくらい美しい景観を私たちに届けています。
    特に夜景は、2012年に「長崎・モナコ・香港」が「世界新三大夜景」に、また国内でも、2015年に神戸、札幌と並んで「新三大夜景」としてそれぞれ認定されています。


         長崎港の夜景

②「異国情緒豊かな坂のまち」

長崎は、日本のほかの地域が経験したことのない、特異なまちでもあります。

それは、幕府による「鎖国」政策が取られる中で、日本でただ一か所門戸(出島)が開かれて、外国船が出入りし、貿易などを営む外国人が住むまちとしても発展しました。グラバー住宅など異国情緒豊かな当時の建物、教会などが数多く残されています。また著名な観光名所にたどり着くには、必ずと言ってよいほど坂道が多く、「オランダ坂」などは知らない人いないくらいです。


           オランダ坂

③「世界歴史遺産の集積地」

「明治日本の産業革命遺産」として、長崎市だけで「旧グラバー住宅」など8つが構成遺産として登録されるなど歴史遺産の特異な集積地となっています。海底炭鉱(端島炭坑)で知られる長崎の沖にある「軍艦島」もその一つです。


      端島炭坑のあった軍艦島

④「被爆地として平和を発信」

長崎は、原爆の投下によって多くの犠牲者を出すなど、悲しい運命をたどってきました。平和公園には「平和の像」が建立され、全世界への平和の発信地として、とても重要な役目を担っています。


        平和の像(平和公園)

⑤「花街へ!思案?橋」

長崎が外国の貿易船の出入港でにぎわい、乗組員たちが行き来することによって、丸山地区にはそれを受け入れる花街が生まれ、日本三大花街として栄えました。当時の花街の面影はわずかに残るだけとなりましたが、花街につながる「思案橋」一帯は今、長崎の歓楽街になっています。


        長崎の歓楽街「思案橋」

かつて花街へ向かうかどうするか、様々な気持ちを持った人々の往来を見詰めてきた「思案橋」は、現在、川が地下水路になったため、橋の袂(たもと)が残るだけとなりましたが、多くの流行歌が生まれた舞台として、その名はこれから永遠に残り続けるに違いありません。
  このほか、ちゃんぽんやカステラなど長崎の食文化も見逃せません!

 

■(2)「長崎さるく」のはじまり!

   長崎では、順調に伸びていた観光客が、1990年(平成2年)の628万人をピークに落ち込みはじめ2004年(平成16年)には500万人を割り込みました。これに危機感を持った、長崎では、市をあげて観光客を増やそうという、様々な検討が行われてきました。そして、観光客を増やす一つとして、長崎の持ち味、港の景色や異国情緒豊かな建物、貴重な歴史・文化遺産などの「長崎の良いところ」と「長崎の坂道」などをセットにした「長崎のまち歩き」・長崎弁の「さるく」(ぶらぶら歩く)の名をとって「長崎さるく」を全国に先駆けて行うことになり、2006年(平成18年)に“まち歩き博覧会・「長崎さるく博‘06」”の開催を「長崎さるく」スタートの年と位置づけ、様々な内容の「まち歩き」のメニューを組んで、全国に先駆けて実施しました。

▼「長崎さるく」をはじめるにあたって、観光客落ち込みの原因を綿密に分析!

    長崎国際観光コンベンション協会によりますと、

   長崎にやってくる観光客が減り始めた原因は、観光客の動向、つまり観光客の旅のスタイルが大きく変化したためとみています。
観光客の動向の変化を分析した結果、

▼観光客の動向の変化

   団体型→個人型へ

   物見遊山→体験型へ

   男性主体→女性主体へ

上記のように大きく変化してきたためです。

そこで、こうした変化に対応した観光客を増やす対策を検討した結果、

「長崎さるく」が長崎の良いところをいかした「まち歩き」で観光客の落ち込みを盛り返す一つのあり方として、最適であるという結論になり、 観光客の動向に合わせて、観光客のターゲット(対象)を、個人・女性、それにシニアに絞った「まち歩き」メニュー、長崎独特の「游さるく・通さるく・学さるく」3つの「さるく」を組んで本格的にスタートしました。

 

■(3)「さるく」の中身(メニュー)

現在の「さるく」メニューは、地元の有識者をはじめ、市や多くの市民の意見を参考に、スタートの時に制作されたメニューとは基本的には変わらない、3つのメニュー(コースの数などは現在のもの)が組まれ、実施されています。


  長崎独特! 「通・学・遊」の3つの「さるく」


   「遊(ゆう)さるく」(マップ見ながら気ままに散策)・・・46コース

▽対象:予約・ガイドなし。地図を見ながら自由に歩いて見てもらう。

・「地図」はコースごとに用意、それぞれポイントの観光名所を表示。

▽おすすめ:「時間に余裕がある」「自分たちだけで調べながら回りたい」人に。


   ポイントごとに用意された 「さるく」地図 

②「通(つう)さるく」(ガイド付きで2つの選択コース)・・・32コース

▼定番コース・・・歩くコースがあらかじめ決まっていて、様々な体験ができることが魅力です。

・回るコースと観光名所を表示した地図を用意。

▽おすすめ:「ガイドの案内で無駄なく、しっかり体験して回りたい」という人に。

 

▼アレンジコース・・・歩くコースは、自分で行きたいところを自由選択し、ガイドをお願いして「さるく」をしようというもので、様々な体験ができます。

▽おすすめ:「長崎の見たい場所を選択、確実に回り理解を深めたい」

    この「通さるく」は、様々な体験を通して長崎を知ってもらうことを狙いにしていて、「長崎さるく」の目玉となっています。コースによっては、老舗のお菓子屋さんや工芸店などを最大5か所立ち寄るケースもあります。また、鎖国の際、長崎が全国的に重要な役割を果たしてきたことなども知ることができます。


      体験を主にした「通さるく」   

③「学(がく)さるく」(専門家による講座、体験)

▼例えば歴史遺産の「石炭の島・池島」などについて、本格的に深く炭鉱の歴史などを知りたいという人を対象に専門家を招いて行う「さるく」です。

▽おすすめ:「長崎の歴史文化遺産などを深く学びたい」という人に

 

■(4)「さるく」効果

「長崎さるく」の初年度(2006年度・平成18年)の利用者は、「さるく博」も行われたことから、52、398人の参加がありました。

ここ10年間の参加者を見ますと、年によって増減はあるものの年平均で、37、000人の利用者がありました。

さらに、「さるく」は、チラシやHPなどで広く公開されていて、目に触れる機会も多く、「さるく」には参加していないものの、「さるく」の内容を参考にしながら長崎の観光を楽しんだ人もいるものと考えられ、参加者数には表れない、+プラス効果につながっているものとみられています。


           訪れた観光客

長崎の全体の観光客は、「長崎さるく」の実施以後、再び500万人を超えて増え続け、2015年度(平成27年)には、これまで最高の669万人に達しました。「長崎さるく」も観光客数を押し上げる要因として、一定の成果を上げているといえます。


■(5)「さるく」今後のあり方

長崎国際観光コンベンション協会では、
   「さるく」の対象(ターゲット)は、これまでと同じように「個人・女性・シニア」に絞って、参加者が利用しやすいように内容を見直しながら実施していくとしています。

   長崎国際観光コンベンション協会

▼見直しポイント(主なもの)

   「体験」が売り物で女性に人気の「学さるく」に重点。

・魅力ある「体験内容」のジャンルを広げる。

・「体験協力店」を必要に応じて増やしていく。

   「さるく」コースの内容の変更。

   魅力あるガイドを養成。

・ガイドのあり方は・・・ターゲットに合わせたガイドができるようにする。

・様々な年齢層などによって臨機応変にガイド内容を変えられるなどの対応のできる人を養成。

   「さるく」の内容も含めて長崎の観光を素早く知ってもらうソフトを開発するなど、SNSなどIT機器の活用をさらに前進させる。

(以上は「長崎さるく」の現状報告)



(6)「Oh!元気 ねっと」の「さるく」体験

 Oh! 元気 ねっと」は、20161113日と14日の2日間長崎に滞在し、時間内に長崎の良いところを、できるだけ多く見るにはどうするかを考え、下記のように(ガイド付きさるくは「長崎居留地プレミアムさるく」のみ参加)として「さるく」計画を立て、実行しました。

 「長崎さるく」体験青字・・・ガイド付き「さるく」

▽ 13日早朝午前8時~9時半・・・「オランダ坂」  

▽ 13日午前10時~12時・・・ガイド付き「通さるく」「長崎居留地プレミアムさるく

           ~国宝大浦天主堂とグラバー園をめぐる~」に参加。

  13日午後1時から・・・(主なところ)

   ・丸山花街&長崎新地中華街→「風頭公園」(龍馬像)→龍馬ぶーつ像→眼鏡橋→稲佐山

  14日午前・・・
 
  平和公園(平和の像)、浦上天主堂、原爆投下地


はじめに・・・ガイド付き「通さるく」体験

 「長崎居留地プレミアムさるく~国宝大浦天主堂とグラバー園をめぐる~」に参加。

    この「通さるく」は、「長崎の坂道」を登りながら、長崎の人気スポット・国宝大浦天主堂とグラバー園を2時間でめぐるコースです。 参加したのは、20161113日。待ち合わせ場所の「旧香港上海長崎支店記念館」で、「さるく」用のユニフォームを身に着けたガイドさんと合流。

ガイドさんは、高校教師(英語科)の烏山 隆弘(からすやま・たかひろ)さん(52歳)。ガイド歴4年。


    視覚資料で説明するガイドの烏山さん

まずこの日、巡るコースについて、説明を受けた後、出発。

長崎名物・坂道を上り、烏山さんが作成した特製の視覚資料などを見せてもらい丁寧な説明を受けながら、大浦の天主堂、グラバー園へとそれぞれ歩を進め、長い歴史を感じながら見て回った。


         国宝 大浦天主堂

   この日は、天気にも恵まれ、高台のどこへ行っても、眼下の美しい長崎港を見ることができたし、写真を撮るのにも、参加者が私一人ということもあって、時間をある程度もらえたので、様々なアングルからの写真を撮ることができた。私は、20年前に長崎を訪問したことがあり、その際、一度グラバー園を見ていますが、園の前の花壇や建物などが当時と全く変わっていないことに、ホッとしました。


       グラバー園
と花壇

また、当時の洋風の衣装を身に着け帽子をかぶった、ご婦人や子どもたちが園の花壇の前で、ポーズをとっている姿の出会い、このシーンが、その場にフィットし、当時にタイムスリップさせる雰囲気がありました。すかさずシャッターを切りました。こうしたシーンは、毎日午前と午後の各1回だけでも、実際に見られれば、お客さんも、こうした華やかさに満足するのではないかと、ふと思いました。


    グラバー園で当時の衣装でポーズ

「さるく」も第三コーナーを回ったころ、ガイドさんから、歩いたコース上には、三つの「ハートマーク」が隠されているとの興味深い話がありました。


        木にできたハートマーク

そのうちの一つ目のところで、説明を聞いていたところ、すぐ近くを通りかかったお年寄りや子どもを含む家族連れがこの話を聞きつけ、「本当にハートマークがある」などと声援を挙げ、さらにそれを聞いた人たちが集まってきて、写真を何枚もとっていました。ガイドさんがいなければ、見過ごすところでしたがここを訪れた人たちは話題性のある何かを期待している気持ちが伝わってきました。こんなことを感じながらの「通さるく」でした。

  

ガイドなし勝手気ままに「遊さるく」

「オランダ坂」

  私の勝手気ままな「游さるく」は13日「オランダ坂」上りから始まりました。この日は、日曜日のうえ、早朝でしたので、観光客は数人のカップルなどの姿が見られた程度で、スポーツクラブの活動で学校に向かう高校生に出会うなど比較的静かでした。

            オランダ坂

   オランダ坂は凸凹も少なく、比較的抵抗もなく歩くことができました。坂道や近くの古い洋館などでひとしきり写真を撮りながら、坂を上り切ったあと、2つ目の坂道を左へしばらく登っていきますと、「唐人屋敷跡」へ向かう標識がありました。そこで、確認のため高校生に道を尋ねたものの、はっきり説明してもらえず、覚悟して矢印の方角へ階段を下りて行きましたが、次の標識がないうえ、行き交う人もなく、多少の不安の中で石段を下りることになりました。広い道路に出たところで、出会った男性に道を聞いて、やっと唐人屋敷跡を見学することができました。男性は若い人でしたが、要領よく説明してくれました。

        唐人屋敷跡


「丸山花街と長崎新地中華街」

   長崎での移動は電車が一番と言われていたので、丸山方面行きに乗り、丸山公園を中心とする花街一帯の「さるく」をするため終点の「正覚寺下」で下車。
   近くの時計屋さんに飛び込んで道を聞いたら、わざわざ外まで出てくれて、店のすぐ横にある石段を上っていけばよいと教えてくれた。

   落ち着いて周囲を見回したところ石段の上り口に「丸山オランダ坂」と縦書きの標識が設置されていた。


     丸山オランダ坂

  ここから上がってゆくと「梅園身代り天満宮」をはじめ、かつて多くの人でにぎわった花街に到着、花街で大きな役割を果たした「検番」、坂本龍馬の像のある丸山公園、さらに緩い坂道を少し下ると、「思案橋」と書かれた飲食街、それを抜けて大通りに出ると電車やバスの停留所があり、その名も「思案橋」となっていた。


       梅園身代り天満宮

   この日は、「梅園身代り天満宮」の「華まつり」が行われることを事前にチェックしていたので、時間を調整して、地元のキレイどころによる花魁パレードを多くの人と一緒に見学。


       「華まつり」のパレード
   
  後は、「丸山」から「長崎新地中華街」へ行くことになり、近道を聞こうと「丸山交番」に立ち寄ったところ、対応してくれたおまわりさんは、すぐさまこれ見ていきなさい!と手渡してくれた
手作りの「地図」を見ながら、その通り行ってみたところ、約10分ほどでスムーズに目的地に着くことができ、うれしい「おもてなし」でした。
   
   中華街は、明るい雰囲気で、昼食の時間からはかなり過ぎた時間帯でしたが、人気中華料理店の前には、多くの人が列を作って並び、自分の順番が来るのを待っていました。


       長崎新地中華街

 「風頭公園」→「眼鏡橋」→「稲佐山」

陽が落ちかけたころ、タクシーを利用して風頭公園に行きました。驚くことに、タクシーは狭い坂道を縫うようにして走ってくれ、日が落ちる前に公園に到着。長崎の港を見下ろす「坂本龍馬の像」をはじめ、展望台から落日の様子を撮影できました。


     風頭公園の「坂本龍馬像」

   龍馬が眺める夕暮れの長崎港

   公園では、観光客が、もう1人の男性と私の
2人、あとは犬の散歩をさせる近所の人が何人かおりました。このあと「龍馬のぶーつ像」を見るべく道を下り始めましたが、あたりがやや暗くなって、わかりやすい標識もなく困っていたところ、犬を散歩させていたおばさんに出会い、道を聞いたところ、足が少し不自由なのに、約300mの下りの道を一緒に歩いて案内くれました。おばさんの優しい「おもてなし」を受け、感謝でした。

   「龍馬のぶーつ像」に着くころには、あたりは暗くなり街灯がついていました。付近は、下に降りる道、横へ行く道といくつか道があり、いずれも狭い道でしたが、猫があちらこちらで動く姿が見かけられ、ほっとさせてくれるひと時でした。

       龍馬のぶーつ像

この後、民家からもれる灯りをたよりに坂道を下り、途中で道を聞きながら眼鏡橋へ、そして稲佐山へロープウェイで上り、長崎港の夜景を心行くまで楽しみ、写真もたくさん撮影しあと、この日のまち歩きを終えました。


           夜の眼鏡橋

 
14日午前・・・「平和公園→浦上天主堂→原爆投下地」

   1114日の月曜日、長崎は雨になりました。原子爆弾の投下で、多くの犠牲者を出し、悲しい運命をたどってきた長崎市。全世界に平和を発信する場所として、「平和の像」が設置された平和公園を訪ねました。この後、「浦上天主堂」、「原爆投下の地」と訪ね、犠牲になった人たちの冥福を祈りました。


       原爆投下の地

       浦上天主堂


■(7)「Oh! 元気 ねっと」の注目点

 
   長崎が自慢するコース46、利用者全国一、を誇る「長崎さるく」に、私も2日間でしたが参加し、観光地と観光地の間を結ぶ交通として電車やタクシーを一部利用、予想以上に多くのポイントを回ることができました。
   長崎のまちを見た私の第一印象は、全般に「清潔できれいなまち」でした。観光名所も、坂道も、街中も・・・。
  またグラバー園周辺は、20年前に訪ねた時と比べて、坂を上るエスカレーターが模様替えした程度でその様相がほとんど変わらずホッとしました。
   また、「さるく」中には、多くの市民から、道案内など、親切な「おもてなし」を受けました。さすがに、年間600万人の観光客を受け入れている観光地という印象を持ちました。

  一方で、長崎が持つ良さ、特質を、例えば「さるく」について言いますと、十分生かし切っているかという点です。長崎には全国各地から観光客が来ていますが、長崎の事情を知らない初めての観光客に十分対応しているかという点で見てみるとどうでしょうか?
「Oh! 元気 ねっと」では、「長崎さるく」について下記の点について、今後注目していきたいと思います。

①「長崎さるく」のコース名はそのコースの内容が一目で分るものになっているか?という点に注目です。
  
   「さるく」の中で、コース名は、そのさるくの中身を表しているものでなければなりません。この「さるく」はこうしたところを重点に歩き伝えるものですということを知らせるものです。
   
   一つの例として申し上げますと、私は、ガイド付き通さるく・「長崎居留地プレミアムさるく」を選び参加しました。しかし、最初「このコース名」を見ただけでは理解できませんでした。サブタイトルの「~国宝大浦天主堂とグラバー園巡り~」を見てようやく、理解できた次第です。コース名は一目見て分かりやすいものが望ましいのではないでしょうか。「居留地」という言葉は、ガイドさんがあえて、参加者に「かつて貿易関係の外国人が住んでいた地域」などと説明をすればよいと思うのです。ここでは、さるくを終わって、プレミアムの意味も、よく分かりません。
   
   私でしたら、コース名を「国宝大浦天主堂とグラバー園巡り」とした方がわかりやすいと思いました。サブタイトルは、ガイドさんがこのコースには「3つのハートマーク」が
あるという話をしていましたので、遊び心で「~3つのハートマーク探しましょう!~」ではどうかと、ふと思いました。


「通さるく」もっと分かりやすく、利用しやすいものになることに注目!
   「通さるく」は、「定番コース」(既存のコースで日時は予約制)と「アレンジコース」(日時、コースはさるくコースマップエリア内で選択、所要時間は2時間以内・すべて予約制)の2つのコースが選択できるというもので、いずれも場合も定員は1人から参加可能です。
   このうち、アレンジコースはコースの自由選択ができることから、自分の行きたい所へ行くのに好都合です。しかし、最長2時間という時間制限付きの上、集合場所が1か所ではなく歩くコースによって変わること、またガイドさんもコースによっては同じガイドさんに続けてやってもらうことが可能かどうかという点もあるなど、はじめて長崎を訪ねる人など長崎に不案内な人にとっては、わかりづらく心配や不安が募ります。
  集合場所、時間制限、同じガイドさんの案内、移動時間の短縮から観光地から観光地への交通手段としての電車の積極利用、さらに、当日その場での変更が可能など、すべてがシンプルで、もっと弾力的な運用ができる、客が利用しやすいものにならないかという点についても注目していきたいと思います。


③ガイドさんに対する注目
   
   今回、「Oh! 元気 ねっと」が参加したのは「通さるく・長崎居留地プレミアムさるく」だけでしたが、このさるくでは、ガイドさんなどから、多くの情報を得ることができました。国宝の大浦天主堂やグラバー園巡りでは、ガイドさんから、自作の視覚資料も使って、内部の具体的な詳しい説明を聞き、多くの人々の犠牲の中で大浦天主堂が存続したことなど、内部も見学して、改めて長崎の歴史の深さに感心しました。
   ガイドさんは、一般に対象になった施設などに対して熱心に集中して説明するのが主です。しかし、今回意外に思ったのは、このコースには、「3つのハートマーク」があることを説明してくれたことです。ユニフォームを着たガイドさんに、近くを通行する人は、耳をそばだてていることがわかりました。ハートマークの一つ目の説明をしているところを、通りかかった家族連れが反応して写真を取り始めたところ、後ろから来た人が次々にそれに反応するなど、一時人だかりができました。皆、ここに来られて、興味深いものを求めていることがわかり、これはガイドさんのヒットになりました。「さるく」のPRにもなりました。
   「Oh! 元気 ねっと」では、このように「さるく」という看板を背負ったガイドさんたちが、今回のようにコースの途中でタイミングよく話題性を提供することも参加者を喜ばせてくれます。このほか、例えば「グラバー園から長崎の世界遺産がいくつ見ることができるか」などといった、面白クイズもあると参加者を退屈させず、楽しめて効果的です。このほか、「ほかのコースでの面白体験」などのPRをしてもらうこともあっていいことだと思います。ただコースの説明だけでなく、このような点にも、ガイドさんの活躍に注目しています。



   「長崎さるく」ガイドのユニフォーム

④「おもてなし」としての道路標識について注目

   日本の多くの市町村では、近年増加している外国人観光客への「おもてなし」として、外国語などで表記した分かりやすい道路標識を設置しています。
   一方で、登山をしている人たちは、登山中、標識を見て、コースを確認し、あとどのくらい距離があるか、どのくらい時間がかかるかを絶えず気にして上っています。
   長崎でも、あちらこちらに道路標識が建てられています。一般的に標識には、ここから目的地までの距離や方角が、矢印や数字で示されています。平坦な道であれば、距離や方角がわかれば目的地までの状況がおおむねつかめます。
  しかし、長崎は坂のまちです。「おもてなし」という観点から考えれば、坂を上がり下がりする場所の道路標識には、距離だけでなく、普通の人で速さで、上りと下りそれぞれ何分かかるかが分る目安を標識に表示してくれると、行くかどうするかの判断もできます。このような道路標識にも、注目したいと思います。


          坂道にある標識

   「Oh! 元気 ねっと」は以上の点について注目しています。

   今回の「さるく」体験では、
  長崎市内の観光名所への移動手段として、1日中何回乗っても同じ料金の「電車一日乗車券(500円)」が大変役に立ちました。最近各地の「まち歩きツアー」などでは、どうしても見せたい離れた目的地への移動、つまり点から点への移動には、まち歩きとうたいながらも、遠距離なので「バス」などで移動している場合が多くなっています。


  電車一日乗車券と電車系統図

  特に、長崎の電車網は、観光名所の拠点近くまで行ける場合が多いので、時間の短縮にもなるほか、シニア世代にとって体力や足への負担も軽減できることから、「さるく」には、普通に取り入れ、大いに活用して効果を上げることができるのではないかと思いました。

 

          「長崎さるく」についてのお問い合わせ:
    
         長崎国際観光コンベンション協会
      
           TEL:095-823-7423
           FAX:095-824-9128

 




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