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 ”地域づくり”現地ルポ

■荒城(あらき)農業小学校  (岐阜県高山市国府町)  
   荒城農業小学校は、小さいうちから農業や自然にしたしみをもたせて、明日を担う農業後継者の育成ばかりでなく、地域づくりのために必要な人づくりの場としても期待されています。 
 荒城農業小学校の概要
 ▲学校の目的と運営 
  荒城農業小学校(以下農小と表示)は「農村活性化モデル事業」の一環として、農業体験を通じて農業や食に知識や関心を持ってもらうとともに、大自然の中でさまざまな体験をさせるなどして幅広い知識を持ち合わせた明日担う子どもたちを育てることを目的に、高山市が「JAひだ」を管理者として委託して、平成14年4月(2002年)高山市国府町で開校したものです。 
 ▲学校の環境
 荒城農業小学校   学校は、自然にめぐまれた静かな田園地帯にあり、地域の拠点施設である「荒城農業体験交流館」に併設されています。学校の水田や畑は、地域のさまざまな地形のところにあり、農作業によっては、子どもたちは、長靴をはいて長い道のりを歩いて行かなければならないところもあり、さまざまな体験をするには格好のフィールドとなっています。 
   ▲児童の募集と保護者の負担 
    子どもたちの定員は80人、公募によって選ばれます。(募集人員を上回った時は抽選)低学年は保護者同伴。授業料は、年間5,000円です。(材料費、保険料を含んでいます)
 ▲先生とスタッフ 
☆ 先生・・・
 農業指導を行うのは「農家先生」と呼ばれる”農家のお年寄り”みな公募で選ばれたボランティアです。

☆スタッフ・・・
  公募で選ばれ、ボランティアです。小学校の授業の企画、事前の準備、授業の運営、農業体験や自然観察などの際の子どもたちの引率や安全指導などを行う担当のスタッフのほかに、厨房を担当するスタッフは、学校の畑で子どもたちが育て収穫した新鮮な野菜を調理して「豚汁」を作って、昼食の時など、子どもたちに提供します。
 授業開始前のミーティング
 ▲授 業 
    授業は年間15回で、子どもたちは、月に1回ないし2回(主に土曜日、時には日曜日)学校に通います。このうち授業は12回、稲や野菜など農作物の植え付けや管理・収穫、それにピザづくりや昔の物づくりなど幅広い体験をじっくり時間をかけてします。特に学校が授業のある日に重きを置いているのが、「稲や野菜の観察、農業と食べ物の学習、仲間づくり」です。一方、課外授業は3回で、夏と秋に自分たちで作った野菜の販売体験のほか、キャンプ合宿です。
  荒城農業小学校の授業の内容
  授業や課外授業は、学校がさまざまな経験を生かして綿密に組んだ年間予定表(カリキュラム)に従って進められます。平成25年度のカリキュラムは、次のとおりです。   
 平成25年度 荒城農業 小学校 年間予定表 
 回 期 日  授 業 内 容 
 1 4月20日(土曜日)   入学式、野菜の植え付け、きのこ植菌 
 2 5月18日(土曜日)   田植え、野菜種まき、植付け、大豆種まき、花壇植付け 
 3  6月15日(土曜日)   野菜種まき、植付け、収穫、自然観察(「洗心の森」のぼり) 
 4 7月6日(土曜日)   田んぼの生き物調査、稲の観察、野菜の収穫 
7月13日(土曜日)   収穫野菜の販売体験(じゃがいも、大根、玉ねぎ、にんにく、にんじんなど)  
8月1~2日(木~金)   合宿(荒城川あそび、キャンプファイヤー、花火、料理づくりなど) 
 7 8月24日(土曜日)   川の生き物調査、野菜種まき、植付け、収穫、かかしづくり 
 8  9月7日(土曜日)  稲刈り、野菜の手入れ、伝統文化の学習(荒城神社など遠足
 9 10月12日(土曜日)   稲脱穀、野菜収穫、わら縄ない、いちごの苗植付け 
 10  10月26日(土曜日)   収穫野菜の販売体験(白菜、大根、赤かぶ、にんじん、ねぎ など) 
 11 11月9日(土曜日)   野菜収穫、植付け、花壇植付け、勾玉づくり 
 12 11月23日(土曜日)   野菜収穫、大豆脱穀、雪囲い、ピザづくり 
 13  12月14日(土曜日)   餅つき、花餅、きな粉づくり、正月飾りづくり 
 14 1月18日(土曜日)   豆腐づくり、どんど焼き、かるた取り大会
 15 2月15日(土曜日)   味噌づくり、卒業式 
 年間(各授業日にとりいれる内容)  稲・野菜などの観察、農業と食べ物学習、仲間づくり など 


じゃがいもの植付け
 ▲授業の進め方
(学校・農家先生・スタッフが共通の認識を持ち、育成) 
 学校で一番重視しているのは、先生・スタッフがこの日のカリキュラムの内容が子どもたちに何を伝える授業なのかを共通認識しているかどうかということです。
 その日の授業が始まる前に担当の先生・スタッフ(6つの班に分けて配置)が集まり、ミーティングを開いて今日は何を目的にした授業を行うかを、事務局の職員が説明、何かあった時あるいはこういうことを聞かれたらどのように対処するかなどについて綿密な打ち合わせをしたあと、その日の授業がスタートします。このようにして学校では、授業をカリキュラムに沿って1年間続けています。
 農小での体験について子どもたち・保護者の感想
                  
 (卒業文集より一部抜粋)
  農小で1年間、15回のカリキュラムに挑戦してきた子どもたち、見守ってきた保護者のみなさんは、農小での体験についてどのような感想を持ったのでしょうか、またどのような影響を与えたのでしょうか? 
   ☆子どもたちの感想

だいこんの収穫 
 児童A 「農業体験の楽しさと野菜のおいしさを知った!」
  私が食べている野菜は、どうやって成長して、どうやって私の口の中に入るのかを知りたかったから農小に入学しました。大自然の中の小学校の畑や田んぼまで長ぐつをはいて行き、そこで種や苗を植えたり、しゅうかくすることは農業をしたことことがない私にとって楽しく、本当に良い経験をしたと思いました。とれたての野菜のおいしさと野菜を食べたら元気になれることもわかりました。次の年も野菜にかかわって楽しむために農小に入学したいです。
  
 児童B「物を作ることの大変さが野菜作りで分かった!」
    農小に入って感心したことがあります。それは、”何か一つのものを作ることは大変”ということです。いつもあたりまえだと思って食べている食事も、たくさんの人が一生けん命育ててくれた、野菜やお米が入っています。農小に入ったことにより、知ることができました。種まきをした野菜が大きく育って、収かくできた時は、とてもうれしく思いました。この野菜はきらいだからといって、残してしまい、捨てられてしまったら、とても悲しいし残念な気持ちになると思います。何かを作るということは、大変だということがわかったので、学校に入ってよかったと思います。
  児童C「野菜の育て方がわかりました!」
    わたしは、やさいをそだてたことがありません。どういうふうにやればよいのかわかりませんでしたがみんなのやることを見てやりました。チューリップがでっかいきゅうこん(球根)からできるということがわかりました。農小に入れてよかったと思いました。
 
合宿・ドラム缶風呂 体験
児童D「みんなとの合宿で得られたものはたくさんあった!」
  学校に入って心に残っているのは合宿で、4つあります。
1つめ・・・
 友だちができたことです。さいしょははずかしくてしゃべれなかったけれど、わらいあえるようになりました。
2つめ・・・
 スイカわりをしたことです。お母さんにスイカをほうちょうで切ってもらっただけで、スイカわりをやったことなかったので心に残っていました。
3つめ・・・
 おふろ(ドラム缶風呂)に入ったことです。おふろは縦に長いのですわることはできませんでしたが熱さがちょうどよかったです。
4つ目・・・
 わたしは水がきらいなので川に足をつけているていどでしたが友だちが”いっしょに入ろう”と言ってくれたので頑張って川に入りました。川の水はとても冷たたかったです。
  ☆保護者の感想 
  
みんな揃って稲の刈り取り
保護者Aさん
  息子が3年生の時から農小に入学、卒業まで4年間お世話になりました。息子から”農小へ行きたい”という希望があり、休まずに行くという目標を持ち、毎回生き生きした様子で登校、一日を楽しく過ごしていました。私自身も、当初は息子とともに参加、楽しみながら農作業をしました。初めてのことばかりで、すごく新鮮な思いで作業に参加しました。こうした体験の結果、息子は野菜嫌いを克服、心身ともにたくましく成長しています。これからどのような道に進むのかわかりませんが農小での経験は大きな宝物となっていると思いますし、きっかけの一つになりそうです。貴重な体験をさせていただきました。
保護者Bさん 
    家庭の事情などで子どもの生活環境が変わり、一時虫取りなど自然と親しむ機会が遠ざかっていた息子でしたが生活環境も落ち着いたため、農小に入れました。入学してはじめのうち、息子は自然に恵まれた農小での農業体験をそっちのけにし、あちらこちらを走り回って昆虫取りに夢中になり、農家先生やスタッフの方たちを手こずらせていました。しかし、学校生活を重ねるうち、ある時期から、次第に落ち着きを取り戻し、農業体験を進んでやるようになりました。 
「Oh! 元気 ねっと」が保護者に直接インタビュー 
   
野菜の販売体験に参加した親子
①「家族で農業に関心が高まった!」 
  授業が終わった後、子どもたちには、毎回収穫した新鮮な野菜のプレゼントがある。この野菜を家に持ち帰ることによって、家庭内で農業についての会話が弾む。子どもたちが、毎年品種を変えて野菜を育てるなど、 家庭内でも農業に関心が高まった。
②「親子の対話の機会が増えた!」 
  子どもが低学年なので農小に参加してともに汗をかいた食卓での会話、とれたての野菜の新鮮さ、苦労して作った農作物の貴重さ、物を大切する心が出てきたことは本人にとって、大きな宝物となる。
③「野菜が好きになった!」  
 

荒城農業小学校”野菜のお店”
  野菜を食べるのが嫌いでほとんど食べなかったが、野菜を食べるのが好きになった。これは農作業を続けているうちに 育てる大変さが分かったばかりでなく、新鮮な野菜のおいしさがわかったのだと思う。
④「積極性がめだって出てきた!」 
  料理を作っているときに、進んで野菜を切るなど、お手伝いをしてくれる積極性が出てきた。農小が楽しく、結局4年間も通った。 


農場長 道上清秋さん(みちうえ・きよあき)の話 

道上 清秋 農場長  
   農小に入学してきた時は、少し落ち着かない子どももいますが、長い経験を積んできた農家先生や優しく時には厳しくしかるスタッフのサポートを受けて、さまざまなカリキュラムをこなしているうちに、包丁や鎌といった作業に必要な物の取り扱いにも慣れるなど進歩が見られ、大自然の中でおおらかな気持ちで過ごせるようになっていきます。
  学校では、子どもたちが自分たちで種を植え、草取りをするなどして、苦労して作った野菜を授業の都度子どもたちに持ち帰らせるようにしています。この目的は、物を大切にする気持ちを持たせる意味があります。それと自分たちが育てた野菜を家庭に持ち込むことによって食卓での会話が生まれる効果も期待しています。
   農小では、一緒に学んできた学校の違う子どもたちとのふれあいも、はじめのうちはお互いにストレスになることもありますが一緒に農作業をしたり、さまざまな会話を交わしたりしているうちに、気心がわかって障壁がなくなり、多くの思い出づくりにつながっていると思います。
   また、ここで学んだ子どもたちの中には、農業が好きで何年も通っている子もおり、こうした人たちは将来の地域の担い手として、農村の活性化の中心として、地域を盛りたてる活躍をしてほしいと思っています。
   農小では、高齢化で農家先生の確保の問題が心配されています。学校としては、子どもたちのために、システムをいろいろ変えてこの問題を解決し、授業を続けていきたいと思っています。 

鎌を使って稲刈り
「Oh! 元気 ねっと」が見た農小こんなところも

野菜の販売体験”はくさい残り 4コ”

  「農小で体験をした高学年の子どもたちの多くは、農小での生活が興味深く、楽しいとして、農小に2年以上も続けて通ったり、卒業して中学へ行っても農小とのかかわりあいを持ち続けたいといっています。
  一方、低学年の子どもたちは、保護者と一緒に参加しますが、”稲や野菜の苗の植え方”などを知らない保護者にとっては自分の勉強ができ、本当のことがわかって子どもともども喜んでいますと話しています。
  また、夏と秋に課外授業として行う”野菜の販売体験”では、自分たちで育てた野菜をできるだけ多く販売しようと、大きな声を出したり、店頭に立ったり、店頭を離れて売りに出歩くなど、あの手この手を考えながら知恵を絞って販売したりするする積極的な姿が見られました。
  こうしてみますと農小は子どもたちに”答えはひとつ”ではなく 、物事を幅広く教える場として、存在意義が大きいといえます。 
  「Oh! 元気 ねっと」では、農業や自然体験によって、農業に興味を持つ子どもが増えたばかりでなく、積極性が増したうえ、工夫をする力が付くようになったなど、人づくりに大きな効果をあげており、将来のまちづくりを担う人材の養成にも期待が高まっていることについて、次の点に注目しています。
荒城農業小学校の注目点 

 自然体験 川あそび& 生物調査 
注目点①「農小の年間カリキュラムが充実!」 
  「たとえば、子どもたちが泥んこの田圃に入って足を取られながら植え付けた稲がどのようにして「お米」になるかを知ってもらうようなカリキュラムを組んでいることです。子どもたちに、水田の草取りや稲の刈り取りなどの体験をさせるなど、多くの手間をかけてお米ができることを実践してもらっています。」 
目点②「学校・農業先生・スタッフががっちり連携!」 
  授業の日には、”植えた稲・野菜の観察、農業と食べ物の学習、仲間づくり”など絶えず考えながら、伸び伸びとして積極的で元気な子どもたちを育てることを目的に、学校・農家先生・スタッフが子どもたちに同じ気持ちを持って接している。 
  注目点③「農業や自然体験ができる最高の環境!」 
 
パン焼き体験
  学校はのどかな田園風景や畑が広がり、その周辺には山や川があるなど、自然環境に恵まれています。農業体験にも、時には山に登って体力づくり、川での虫取りや動植物の観察などにも適したフィールドとなっています。 
注目点④「学校を運営する資金が安定!」 
  学校の運営は高山市による。





 学校への問い合わせ
 
  荒城農業小学校

       〒509-4102
       岐阜県高山市国府町八日町651-2


              TEL:0577-72-1066
             FAX:0577―72-1067


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