■北見市
北海道のオホーツク海に面したサロマ湖の南岸から内陸側へ広がる北見市。人口12万人、オホーツク海側の中心都市です。その大地では、農業、漁業、畜産業が盛んで、地元食材を利用した独特のご当地グルメ「焼きそば」など、魅力あふれる「食文化」が生まれています。
また、かつて世界一のハッカの生産地として栄えた流れを引き継いで、「ハーブ」の香り漂う街にしようという取り組みが行われているほか、渓流の魚を観察できる水族館などもあり、魅力的な観光地として発展を続けています。
北見市
さらに、北見市は「カーリング」の拠点として知られていますが、地元出身者で結成された女子チームが、2018年に韓国で開かれた冬期オリンピックに出場して銅メダルを獲得したことをきっかけに、「カーリングのマチ」として新たな観光の魅力となる動きも活発になっています。
■魅力
▼北見の誇る食文化
北見市では、食文化を形成する様々な食材がそろっています。日本一の生産をを誇る「玉ねぎ」をはじめとする農産物をはじめ、サロマ湖でとれる「ホタテ」、そのほか肉類など山の幸、海の幸が豊富です。
日本一の生産量を誇る「玉ねぎ」
こうした食材を活かした食文化が北見という厳寒の土地で、様々な形でかかわりあって生まれてきました。
●「ご当地グルメ」の王様は「焼きそば」
北見の食文化を代表するのは「オホーツク北見塩焼きそば」です。平成19年、「食を通じたまちおこし」の事業で開発され、華々しくデビューしました。
「オホーツク北見塩焼きそば」
「オホーツク北見塩焼きそば」には「定義とルール8か条」がきめられています。
まず、麺の原料の小麦は北海道産、豚肉の代わりにオホーツク産の身の引き締まった「ホタテ」、キャベツに代わって生産量日本一北見の「玉ねぎ」、さらに味付けはソースではなく「塩」とするなど、北見を中心とする地元食材を利用した独特の食文化を貫き、発信しています。ご当地グルメとして、全国的にも知られています。
●「北見流・焼き肉文化」
北見市は人口の割りに焼き肉店が多い「焼き肉のマチ」として知られています。人口12万人に対して、焼き肉専門店70店余。人口1万人あたりでみますと、北見の「約6軒」に対して、札幌では「約1.6軒」で、人口当たりの店の数は、北海道一です。
北見独特「炭火で焼き肉」
焼き肉は、部位で見ると一般的には「牛カルビ―」、「牛ロース」、「牛タン」が人気トップ3ですが、北見では牛サガリ」、「豚ホルモン」など内臓肉が2大メニューになっています。
新鮮な焼き肉のネタ
そのスタイルは、炭火を囲んで肉類などを焼き、果物や玉ねぎを使った生ダレにつけて食べながら、語り合うという、北見独特の焼き肉文化が引き継がれています。
▼北見流・焼き肉のルーツ
北見焼き肉のルーツは、昭和25年、北見駅近くの屋台ではじまりました。近くに処理場があり、新鮮なホルモンなどの内臓肉も豊富で、炭火で焼いて客に提供されたのが始まりだということです。
その後、昭和30年代から炭火で焼いたホルモンをタレにつけて食べる今のスタイルになったということです。手軽に食べられ、値段が安かったことも発展につながったとみられています。
●「食のイベント」
北見の食文化は、地元食材の種類や量の豊富さと利用の高まりとともに発展を見せ、多くの人々が楽しめるイベントが次々に生まれました。
▽「厳寒の焼き肉まつり」
毎年、一年中で一番寒い2月に市内中心部で行われる「厳寒の焼き肉まつり」は、市民ばかりでなく、転勤族、さらには出張族なども加わって行われる野外での「焼き肉」イベントです。防寒服を着て多くの人々が集まり、焼肉の煙がもうもうと立ち込める中、寒さを我慢しながら、肉にかぶりつくという北見が誇る焼き肉文化を楽しめます。
「厳寒の焼き肉まつり」(毎年2月)
▽「カレーライスマラソン」
カレーライスマラソンは、毎年9月中旬に農業の盛んな端野地区(たんの)で行われているイベントです。
”ネタ集めへ”カレーライスマラソン
家族やお友達、企業などの4人が1チームで、マラソンコースに置かれているカレーライスを作るのに必要な、肉、じゃがいも、ニンジン、玉ねぎなどの材料をマラソンをしながら集め、持ち帰って実際に調理してカレーライスの出来栄えを競うものです。
みんなで協力!カレーライスづくり
最初は、収穫の秋を地元の人たちで楽しもうと始まりましたが、今では全道に知られるようになり、北見の食文化を代表するイベントとして人気を見せています。
▼ハーブの香りの漂うまちづくり
北見市は、昭和の初め頃、世界のハッカ生産の70%を占める大生産地で、ハッカの香り漂う街として大いに栄えましたが、その後需要が減って、ハッカの香りが街から消えかかろうとしていました。
かつては世界一の生産「ハッカの花」
そこで、北見市では、「香り彩るまちづくり推進機構」を発足、市民や企業の協力を得て、北見のハッカの歴史を受け継ぎ、新たな香り文化としてハーブ(ハッカもハーブの仲間)を広めようというまちづくり計画を進めています。
その事業の中心として、平成6年から市内の河川敷の10ha余の敷地に、「香りゃんせ公園」を整備し、毎年のように、ダイヤ―スカモミールをはじめ、ペパーミントやローズマリー、チャイブスなど多くの種類のハーブが植えられています。
「香りゃんせ公園」
公園では、季節ごとに次々にハーブが咲き出して、清涼感やスパイシーな香りを漂わせて、人々をリラックスさせています。
「ダイヤ―スカモミール」
このハーブの香り漂うまちづくり事業を盛り上げるため、毎年7月中旬に「香りゃんせフェスティバル」というイベントやハーブの育て方講習会を開くなど多くの市民にバーブに親しみを持ってもらっています。
様々なイベントでバーブ事業PR
●「北見ハッカ記念館」
こうした新しい動きの一方で、かつてのハッカ文化の歴史を残そう建てられた「北見ハッカ記念館」でも、ハッカの葉から「ハッカ油」を取り出す体験など様々な取り組みも行われています。
「北見ハッカ記念館」
ここでは予約をしておくと、ハッカを(蒸留)抽出する体験もできます。
▼「山の水族館
北の大地の水族館「山の水族館」は、温泉地として知られる温根湯温泉地区にあります。
その魅力は・・・魚の生態をリアルにみてもらおうと水槽が工夫されていることです。
「山の水族館」
滝つぼの魚の様子が観察できる水槽
厳寒期 の巨大淡水魚・イトウの様子
▼「ワッカ原生花園」
「ワッカ原生花園」は北見市常呂地区にあるサロマ湖の砂洲地帯にあり、「網走国定公園」の地域に入っています。
「ワッカ原生花園」
毎年4月下旬から9月下旬にかけて、ハマナスやエゾスカシユリなど300種の草花が咲き乱れます。また野鳥の繁殖地ともなっているなど自然の宝庫です。観光馬車も運行されています。
サロマ湖に落ちる夕日
サロマ湖に落ちる夕日のスポットとしても人気になっています。
▼新たな観光名所「カーリングのマチ」として脚光!
■写真提供・取材協力
▼北見市商工観光部観光振興課・・・0157-25-1244
*北見市のHPは「こちら」